2018年2月9日に都内某所にてKORG 2018 新製品内覧会が開催されました。その模様をレポートします。
prologue
まずはNAMM 2018でも紹介されていたアナログシンセサイザーprologueです。創立50周年を迎え、今年最初の大型製品。
minilogue、monologueと来て登場した第3弾、待望のフラッグシップモデルの登場です!
製品の概要をKORG開発担当の山田氏に解説していただきました。
沢山アナログシンセ作ってきた音作りのノウハウを活かしながら、細かい部品選定や回路レベルで音をよくすることに集中して開発したということです。minilogue、monologueでは入れられなかった機能もprologueには盛り込んだということです。これは期待が高まりますね。
prologueの大きな特徴はアナログオシレーター2基に新開発のデジタルオシレーター『MULTI ENGINE』が搭載されたことです。このMULTI ENGINEにノイズ・ジェネレーター、FM変調のVPM(Variable Phase Modulation)、そしてユーザー・オシレーター(WAVE TABLE)の3種類があります。ユーザーが自作のオシレーター・プログラムをロードできるのは驚きですね!どんなデジタル・オシレーターを組み合わせればアナログ・シンセに効果的な作用をもたらすのか、色々と試してみたくなります。
いよいよお待ちかね、サウンドを聞いてみましょう。前述の山田氏による実演を交えたprologueの解説がありました!
- 0′00″〜 prologue概要
- 0′59″〜 アナログコンプの効果について
- 1′57″〜 デジタルオシレーターの紹介
- 3′31″〜 アナログとデジタルオシレーターを組み合わせた音色
- 4′32″〜 エフェクトについて
- 6′52″〜 アルペジエイターを組み合わせたデモ演奏
デジタルオシレーターのMULTI ENGINEサウンドが実に変化に富んでいましたね!エフェクトもモジュレーション系が充実していて、大胆に音を変化させるような積極的な音作りに大いに活用できそうです。
難波さん登場!
さらにデモ演奏として作曲・編曲家で多くのミュージシャンのサポートのほか、自身のバンド「センス・オブ・ワンダー」などでも活動するキーボーディストの難波弘之氏が登場!デモ演奏ではprologueを自在に操りながら、存在感のある音色を多彩に披露しました。
prologueの音の印象について難波氏は「一言では伝えきれないのですが、PolysixとMS-20にFMシンセが加わってハイパーにした感じという印象でしょうか(笑)。それからクロスモジュレーションが付いているのでProphet-5みたいな音も出せますので、色々なことが出来て非常に面白いですね。」と過去の名機になぞらえて紹介。たしかに金属的な響きのある音や強烈なモジュレーションがかかったような音はProphet-5を彷彿させました。
prologueに実際触れてみましたがオシロスコープで波形を確認しながら、ツマミをいじって直感的に音を探す、ハードシンセならではの音作りに時間が経つのを忘れるほどでした。特にオシレーターの部分はアナログとデジタルの魅力が結実した、シンセサイザーの新しい可能性を秘めているように思います。
またデジタル・オシレーターやエフェクト・プログラムをprologueへロードしてユーザーがカスタマイズできる拡張性にも魅力を感じました。誰もが同じ音がするシンセサイザーではなく一人一人違う音を生み出せるシンセサイザーで、ユーザーそれぞれの知識や創造力で積極的に音を作っていってほしいという、KORGからの熱い思いを感じました。
発売は2月24日(土)で、価格はprologue-8が¥162,000、prologue-16が¥216,000、ただいま予約受付中です。
volca mix
volca mixも展示されていました。これは複数のVolcaをライブセットで可能にする4チャンネルミキサーです。コンパクトながらも3台まで一括で電源供給できる機能や、ライブセットでマスターとして活躍する新機能もあります。ステージのvolcaパフォーマンスを実現するためにはとても便利な製品ですね。
発売は2月24日(土)の予定です。
その他
他にもこんな製品がありました。
Arturia
会場の別フロアではKORGが輸入代理店を務めるArturiaの新製品が展示されていました。NAMM 2018で話題になっていたMiniBrute 2、MiniBrute 2S、RackBruteといった製品に、多くの人が注目を集めていました!
作曲・編曲家でキーボーディストの氏家克典氏による解説も行われました。
MiniBrute 2
まずはアナログシンセサイザーのMiniBrute 2です。
何と言っても48 in/outのモジュラーパッチベイが搭載されている事が大きな特徴です。シンセサイザーとシーケンサーの多くの要素をコントロールするための48のCV入出力とユーロラックの組み合わせでさらに多彩な音作りが可能です。外部音声を入力するexit inもありますので、MiniBrute 2に取り込んだ音をSteiner-Parkerフィルターで加工することも可能です。
VCOは2基搭載されていて、下記のような構成になっています。
VCO1:分厚いサウンドを生み出すUltra Saw、三角波の倍音を複雑にするMetalizer内臓。FM機能も搭載
VCO2:サイン波、ノコギリ波、矩形波の選択式。ファイン、コース、LFO操作のための3種類のチューニングモードを搭載
氏家氏の解説動画もご覧ください!
MiniBrute 2S
MiniBrute 2Sは、パッチベイから拡張されたモジュラーシンセをコントロールすることでモジュラーシステムの中心になります。鍵盤の代わりに3トラックのステップシーケンサーとベロシティ対応16のパッドを搭載していて、これらを駆使してフレーズを作ったり様々なパフォーマンスができます。
RackBrute
ユーロラックケースのRackBruteも3Uが展示されていました。MiniBrute 2やMiniBrute 2Sと「LINK COMPATIBLE」機能によって連結できます。こんな感じでセットになるので、ライブやレコーディングなどで持ち運ぶ際にも重宝しそうです。
発売はMiniBrute 2、MiniBrute 2s、RackBruteともに4月下旬の予定です。
V Collection 6
そして発売されたばかりのV Collection 6についても氏家氏の解説がありました。ビンテージシンセ21種類のソフトウェアをパッケージしたこの製品。新たに追加されたBuchla Easel V、DX7 V、CMI V、Clavinet Vと言った4つの音源について、Keylab Essentialで実演しながら熱く解説しています!
- 1′19″〜 DX7 V
- 5′04″〜 Buchla Easel V
- 7′16″〜 Clavinet V
- 7′47″〜 CMI V
今回はシンセサイザー関連の製品が目立ちました。特にprologueは過去の資産や経験を生かしつつ、未来へつなぐための新しい技術が導入されていたのが印象的でした。
次回はまたどんな製品が登場するのか楽しみです。
Writer.Miyazaki