Doepfer Dark EnergyやArturia minibruteなどのスマッシュヒットによってアナログの大リバイバルが起こってから既に7年ほどの月日が流れ、国内ではシンセサイザー御三家や大阪のREONらを巻き込んだ一大ムーブメントが、そして世界ではモジュラーブームに加えてMINIMOOG MODEL Dが正式リイシューされたりと盛り上がり、シンセのスタンードとしてアナログが再び定着した感があります。最近では猫も杓子もアナログモノシンセという状況も落ち着いて来ています。
そんな中で数年前からアナログ以降の80sサウンド、とりわけFM系のクリアで音圧のあるサウンドが存在感を出しています。実際にモジュラーシンセでもデジタルオシレーターものは以前から根強い人気があり、アナログだけでは飽和しがちなサウンドにフレッシュな彩りを添えています(これもリバイバルですけども)。ソフトシンセではVeangence AvengerやXfer Record SERUMが高い人気を誇っている中、クリアなエッセンスを持ったハイブリッド系がハードシンセでも増えて来ています。

周波数変調/倍音のコントロールの基礎から発展系までシンセサイズの真髄を体感できるSHUTTLE SYSTEMをご紹介します。
SHUTTLE SYSTEMの核となるオシレーターモジュールFurthrrrr Generatorは二つのオシレーターとMood Indexというモジュレーションバスで構成されています。二つのオシレーターはそれぞれ左から「モジュレーター」と「キャリアー」と呼ばれ、相互に変調して、基本的にはキャリアーの方のサウンドを出します。
FMハード/ソフトシンク系の音に特徴があり、もろに「電気の音!」というヒリヒリした音、号泣系のギャイーンというシンクがとても映えるメリハリの聴いたサウンド。太さとは違った存在感でリードに使ったりできます。お店で鳴らすと皆振り向きます。
そしてそこから更にウェーブシェイピングできるのがこのFurthrrrr Generatorの真骨頂。ウェーブシェイピングは「Furthrrrr」「Symmetry」「Order」という三つのパラメーターで行うのですが、これらをある種三次元に組み合わせることで、まるで放電寸前の電気ナマズがうねるような(?)特徴的なサウンドが生まれます。
肝は各パラメータをCVで動かすことです。CVはSHUTTLE CONTROLにLFOを割り当てても良いし、Grand Terminalのエンヴェロープをサイクルモードにして取り出しても良し、もしくはセルフモジュレーションしても美味しいです。ちなみにシンクしながら相互にFM変調してそこからウェーブシェーピングなんていう荒技もできます。
ここで突然ですが質問です。みなさんエレクトロやテクノといったらどんな音を思い浮かべますか?私はJAMES STINSONの落ち着いた名義の時のベースサウンドを思い浮かべるのですが、このFurthrrrr Generator、高次倍音を「Order」で良い感じに抑えて、「Furthrrrr」を少し開くとまさにそんな音がします。
エレガントだけど電気的、そして静かながら官能的なサウンドが非常に心地よく、割れるようなモジュレーションサウンドの一歩手前を行ったり来たりするようなセッティングを楽しめます。ちょっとキモいこと言ってしまいましたね。
Grand Terminalにはリバーブなど空間系のDSPエフェクトが豊富に入っているのでダンスミュージックからニューエイジ風サウンドスケイプまで幅広くお勧めできます。

minilogueの鍵盤&ボイス数が増えただけと思ったあなた、大間違いですよ!
このレビューを書くためにお店で色々触って見ましたが、最初にヘッドホンで音を聴いたとき、リバーブの響きと低域の量感に驚き、「うわ、超良いじゃないの」と思いました。パラメータを見ると今回新設されたアナログローブスター/コンプがガッツリ掛かっていました。
このコンプの質感が個人的に物凄く好みで、リズム隊のステムに掛けたい!と思って背面を見るとあら残念、外部入力は有りませんでした。しかし逆に考えればこんなに良い塩梅に低域をコントロール出来るプロセッサーを内部回路だけで使うという贅沢さを感じました。
Korgでアナログプロセッサーと言うと、electribeの真空管を思い浮かべる方もいると思いますが、ああいう歪みエフェクター系ではなく、またDave Smith Tempestのステレオコンプレッサーの様に、良くも悪くも頭のこめかみ辺りを締め付けてくる様なあからさまな潰しでもなく、あくまで低域とダイナミクスをナチュラルにコントロール出来ます。
シンセ付属のコンプでは1番良いのではと思う程良くできていました。外部入力が無いのが本当に悔やまれます。
オシレーターの音については、二つのVCOはとてもプレーンで使いやすくminilogueとそこまで差は感じません。やはり特徴となるのは三つ目のデジタルオシレーターVPMでしょう。これって単にウェイブテーブルみたいなデジタル波形が入ってるだけかと思ったら全然違いました。
VPMは一つのモジュレーターと一つのキャリアーからなる、言ってみれば2オペのFMみたいなものです。そう、前述のShuttle SystemやYAMAHA DXのような音作りです。VPMではこのキャリアーとモジュレーターの組み合わせのバリエーションが16種類あります。
そこまで細かいエディットは出来ませんが、Shapeノブでモジュレーターのピッチとモジュレーションデプスを個別に設定出来るので必要充分な音作りが出来ます。個人的には低次倍音がぐっと持ち上げられたサウンドが好みでした。
アナログデジタル両者の良いとこどりのシンセが欲しい人にオススメです。

アナログシンセを語る上で避けては通れないminimoogの本家現代版リイシュー。リイシューによってキャラクターが変わってしまっては元も子もないし、何も変わらなくても寂しい、そんなバランスを絶妙について来ています。オーディオのシグナルパスに関わる大きな変更点はミキサー部分のみでキャラクターは全く持って健在。
オリジナルトランジスタを復刻させており、個体差や好みの差はあれど中古市場で極上コンデションのminimoogの音と言って差し支えないと思います。minimoogを触ったことある人が触るとまず鍵盤タッチ感の良さに驚くでしょう。
私も鍵盤に関する情報なしの状態で試奏した時にとても弾きやすく、これだけでも買う価値ありと感じてしまいました。それもそのはず、鍵盤にはFatar製のヴェロシティーアフタータッチ対応鍵盤が使われています。このFatar TP-9キーボードを使用することでMIDIデータの送信、ベロシティのコントロール電圧に加えてアフター・プレッシャーのコントロール電圧も出力できるようになったのです。
どうですか、このツボを見事に抑えたリイシュー振りは!ベロシティによるアウトプットボリュームやアフタープレッシャーによるカットオフ周波数の変化を伴う演奏は最高に気持ちが良いです。
さらに待望の専用LFOが左手側キーボード(ピッチ・ベンド、モジュレーション・ホイール)パネルに追加されています。オリジナルminimoogでは3つ目のVCOをLFOとして使用していましたが独立LFOが追加されたことで3VCOを鍵盤でフルに鳴らしながら、LFOでモジュレーションさせることができるようになりました。
minimoogファンにとって夢のような仕様になっています。また今後20年ほどで内部のパーツが経年劣化するとサウンドも変化していくことでしょう。あなたの長いシンセ人生の最良のパートナーになるでしょう!

緩やかにカーブしたフロントパネルに適度な大きさの重厚感あるメタル・ノブが絶妙な感覚で配置され、回し心地は軽すぎず重すぎず、一番回す機会の多いカットオフのツマミだけ少し軽くなっており気配りを感じます。
ピッチベンドとモジュレーションホイールは、本体の端に手を置いて親指操作する際に丁度良い距離にあり、踊りながら演奏しても安定して操作可能です。
鍵盤は打鍵音がほとんど無く超なめらか、これはマンション等で階下に打鍵音が響きにくく夜中でも安心して制作出来る鍵盤ですね。
minilogueとmonologueをベースに細部までチューンナップを施された、KORGアナログ・シンセサイザー開発頂点のサウンドを思う存分弾き倒してください!新開発のマスター・エフェクトL.F. COMP.はアナログ回路によるロー・ブースター/コンプレッサーで、単なるEQでは得られない芯のある音圧感を得られます。これは常時ONにしておきましょう!

256個配置されたマトリックスボタンは強烈なオリジナリティで威圧感たっぷりです!このボタン群でモジュレーションもシーケンスも自由自在!エディットしたいパラメーターに対応したツマミ群が音色エディットを単純明解にし「ツマミをいじればすぐに音が変わる音作り」を実現。
出音はとても太く、シングルオシレーターで極太なシンセベースもキックも行けます。3オシレーターを使用した「パラフォニック」機能を使えば、極太のまま3和音演奏が可能で、更にアナログエフェクトを使用すれば水墨画の様に滲んだ世界観を表現できます!
モジュラーシステムの中核を握れる豊富なCV IN/OUT、アナログの分厚い音からエッジの効いた効果音、更にライブでの演奏にも対応可能。フレキシブルなモジュラーシステムとメモリー機能を兼ね揃えた、まさにシンセフリークのためのドリーム・マシンです!

デイヴ・スミスと並ぶ伝説的なシンセサイザー開発者であるトム・オーバーハイムとの共同開発により、Dave Smith Instrumentsから生まれた本機OB-6。私、SCFED伊部は長年Prophet-5の信者でしたが、このOB-6のサウンドを聴いた時にしびれました!
Prophetサウンドの方向性がカレーライスだとしたら、OB-6の音はヨーグルトなのです!発酵食品が醸し出す奥深い味で、フィルターがとても豊かな倍音を出すのでメロディーが導かれて来ます。店頭でシンセ試奏している音が聞こえて来て、なんだあの良い音は?と覗きに行くといつもOB-6。楽器としての存在感、これでたくさん曲が出来そうな予感を与えてくれる神マシンです。
最後に、カレーとラッシーの組み合わせが絶妙なように、ProphetとOberheimの相性は抜群です!