今年1月のNAMMショー(http://www.miroc.co.jp/report/namm2018-home/)で発表されたMackie初のインイヤーモニター製品「MPシリーズ」。この登場は一言で言えば「驚き!」。ミキサーやスピーカー等で慣れ親しんだMackieブランドのイメージに対し、インイヤーモニター登場のニュースに、正直、意外さを感じた人も多かったはず。
なぜ、インイヤーモニター?
興味深々なRock oN スタッフは、今回来日した
・APAC Director of Sales : Matt Frazier氏
・APAC Product Specialist : Jason Tan氏
にお話をお伺いすることができました。
Rock oN : 先日のNAMM2018で発表されたMPシリーズは驚きでした!Mackieがインイヤーモニターという新たなカテゴリーに踏み切った理由を教えて下さい。
Matt Frazier氏 : 私たちMackieは長い時間をかけて、ライブやスタジオ機器に特化したプロダクトを発売してきました。一方「もっと身近にMackieサウンドを楽しみたい」というコンシューマーからの声が大きくなっているのも知っています。そこで私たちは、自分たちの進む方向をSR分野だけに限定してしまうのではなく、多くの声に応えようとインイヤーモニター製品を開発する決断をしたんです。
MPシリーズ開発の前に「インイヤーモニターを開発するのにふさわしいのはどのブランドか?」という一般的な市場調査の結果を参照したんですが、その答えとして、「市場に受け入れられる可能性が大きいのはMackieだ」ということが分かったんです。加えて、ステージ上で使う音響機器を出来る限りMackieブランド1つでカバーしたいという私たちの意思も、もちろんあります。
Rock oN : MPシリーズはステージ使用だけを意識したモデルではないということですか?
Jason Tan氏 : そうです。当初はステージパフォーマー向けの開発をしていたのですが、Mackieサウンドを日常的に好んで聞いてくれている方に対しても使って欲しいという思いがあり、普段のリスニング用としても使って欲しいですね。
Rock oN : NAMM 2018での発表時のリアクションはいかがでしたか?
Matt Frazier氏 : 最初は「なぜMackieがインイヤーモニターを?」と、疑問を抱かれてしまうかなと危惧していましたが、全然そんなことはなく、ブースにたくさんの方がご来場頂き、予想以上の反響がありました。Mackieがインイヤーモニターを作るということに納得の声を多く頂きました。
MPシリーズのラインナップ
Rock oN : MPシリーズの各ラインナップについて教えてください。
Jason Tan氏 : MPシリーズには3つのモデルがあり、「MP-120」はシングル・ダイナミック型ドライバー構成の入門的な立ち位置にある製品です。
「MP-220」はデュアル・ダイナミック型ドライバー構成で、MP-120に比べるとより低域をカバーしています。
「MP-240」は一番上位モデルで、アーマチュア(BA)・ユニットとダイナミック型ドライバーを各1基搭載したハイブリッド・タイプです。ステージ用として開発する意向があったので、Bluetoothワイヤレスの採用は選択肢から外しました。
Rock oN : MP-240のクロスオーバー・ポイントの処理はどのようにされるのでしょうか?
Jason Tan氏 : 詳しくは企業秘密になりますが、もちろんデュアル・ハイブリッド製品を作る時にはバランスド・アーマーチュアに工夫をし、周波数が被らないよう細心の注意を払って設計しています。MP-220とMP-240の2機種は構造的に違うクロスオーバーを採用していて、特にMP-240はバランスド・アーマーチュア固有の共鳴に関する問題がありますので、より緻密なチューニングを施しています。
Rock oN : カバーしている周波数特性は3機種とも同じ(20Hz~20kHz)ですね。この設計意図は?
Jason Tan氏 : なぜこの3機種が同じ周波数帯をシェアしているかということですが、ご存知の通り、人間の可聴範囲が20Hzから20kHzなので、人間の自然な摂理に基づいて設計をすることにしました。
Rock oN : 開発を担当したのはどんな技術的バックグラウンドを持った人たちですか? スピーカーのエンジニアチームだったりするんですか?
Jason Tan氏 : スピーカーだけに特化した専任の開発チームがいるのではなく、Mackieには色んな製品を開発してきたエンジニアがいます。これまで培ってきた多種多様なノウハウを、このインイヤーモニターに注ぎ込んでいるんです。また、外部のプロフェッショナルな方々に協力してもらっている部分もあります。
Rock oN : モニター・スピーカーもそうなんですが、日本人が好む音とアメリカ人が好む音には差異があると思うんですが、そういった好みの違いを想定して製品を設計することはありますか?
Jason Tan氏 : そういった国による好みの傾向があるのは理解しています。ただ、Mackieはアメリカだけにフォーカスして作った訳ではなく、全世界のカスタマーに使って欲しいと思ってこの3モデルを取り揃えました。そうですね、、、例えば、日本のユーザーがベストな製品が欲しいというのであれば、最上位モデルのMP-240をオススメしますよ! “Buy Best”ってことですね!(笑)
Mackieのインイヤーモニターが勝る点は?
Rock oN : (笑)。ご存知の通り、インイヤーモニターは競合機種が多く、その中でMackieが勝る点はどこでしょうか?
Jason Tan氏 : 技術面で優れた箇所をお伝えすると、まず、ケーブルが特殊シールド加工されているのでノイズが非常に乗りにくいです。また、MMCXなので取り外してリケーブルが可能です。コネクタ部は360度回転するので装着が非常に簡単ですし、ケーブルのイヤホン近接部分が形状記憶タイプになっているので、どんな耳の形にもフィットするようになっています。なかでもシェイプには重きを置いて設計しました。装着時に耳からはみ出すことのないようになっており、ノイズ軽減に繋がるとともに、付け心地の良さには自信を持っています。
付属品ですが、「フォーム」、「シリコン」、「ダブルフランジ」の3種類、それぞれに3サイズのイヤーチップが最初から付いていて、好みで付け替えることができます。また、それらがどんな違いをもたらすか理解して使って欲しいので、解説マニュアルを同梱しました。その名もイヤーチップとTipをかけて「Tip for tip」と言います! (笑)また、長く製品を使ってもらいたいという気持ちから、ソフトケースでなく、この価格帯では珍しいと思いますが、ハードケースを付けているんです。もう1つ、ステレオミニ→ステレオ標準の金メッキ変換プラグも付けており、あれば便利だと思います。コンシューマータイプでは、ここまで細部にこだわった製品はないと思いますよ。
Rock oN : 「Tip for tip」ですか!! Mackieのマニュアルにはいつもユニークなジョークが入ってますね。それはなぜですか?
Jason Tan氏 : マニュアルはどこのメーカーも似たようなものばかりで、半分くらい読んで、まあいいかなって読まなくなることが多くないですか? そこでマニュアルを担当するスタッフのトロイが、「最後まで飽きないで読んで欲しい」という思いを込めて、「クスッ」となるようなジョークを散りばめてます。ジョークにも色々な種類がありますが、トロイはUS向けのジョークを書くわけですが、各国の言語に翻訳されているので、読んでいるユーザーが苦労することがあるかもしれませんね。(笑)
Rock oN : 最後に日本のユーザーに向けてメッセージをお願いします!
Matt Frazier氏 : 常日頃からMackieユーザーがもっと増えればいいなと思っています!Rock oN CompanyをはじめMackie製品を販売してくれるスタッフには大変感謝しています。ありがとうございます!
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NAMM 2018
http://www.miroc.co.jp/report/namm2018-home/
Mackie
http://mackie-jp.com/enews/?p=7096