profile
作編曲家 高校時代よりバンド活動を開始、キーボーディストとして関西ライブシーンで活躍。その後、大阪芸術大学に進学、クラシックの作曲や民族音楽学を学びつつ、パッチ式シンセサイザーの音作りに夢中になる。卒業後すぐに作編曲家として仕事を始め、CM、コンサートイヴェント、CD作品への楽曲提供。執筆活動も盛んで著書多数。東京藝術大学映像研究科、美学校などで教鞭をとる。 またメンバーであるバンドCharismaでは、キーボードほか作曲も担当している。
infomation
相変わらずの制作や著作のほか、シンセサイザー・セミナーなどでも、お目にかかる機会が多くなっています。そんななか、著書『ポピュラー音楽作曲のための旋律法』が、韓国の音楽出版社、世界音楽社からも翻訳出版されました。
ANALYSE
今年は、ハードウェア・シンセサイザー豊作の年でした。ここ数年のビンテージ復刻、モジュラー・シンセサイザーのブームといった流れも継続していますが、なんといっても国内各メーカーから、気合いの入った新製品がリリースされたのが印象に残っています。
KORG minilogueは、オーディオ信号系は全てアナログ処理の4音ポリフォニック・シンセサイザー。ポリフォニックでよくハモる適度な歪み感と、KORGらしい柔らかく中域の充実したサウンドが気持ちいいですね。また、つまみの挙動がとてもよく考えられていて、触っていて楽しいモデルです。この充実した音源を購入しやすい価格帯にまとめたところも、Good Jobです。
YAMAHA MONTAGEは、フラッグシップに位置づけられるシンセサイザー。なんといっても注目は、同社のシンセサイザーの代名詞ともいえるFM音源の塔載です。8オペレーターにフィルターも装備し、他の音源とは全く異なるシンセシスを可能にしています。また、同時に使用できるPCM音源部分も強力、両者をリアル・タイムコントロールしながらのプレイも魅力です。
ROLAND SYSTEM-8 は、同社が長年にわたって追求してきた、デジタルによる減算合成シンセ(いわゆるアナログ・シンセシス)の最新鋭機です。同社らしい、明るく抜けの良いサウンドと素直な挙動はとても音作りがしやすいモデルです。また、必要に応じて、さまざまな歪を加えてダーティなサウンドにもでき、とても現代的なモデルに仕上がっています。
FUSION
どのモデルも、それでしか出せない音色と個性を持っています。MONTAGEは、膨大なPCM波形をもっています。いわゆる出ない音はないタイプのシンセサイザーでもありますが、やはり個性を発揮するのは、FM音源やSuperNobといった、これにしかない装備を活用したときでしょう。
System-8は、デジタルシンセならではの、オシレーター波形やフィルターのバリエーションを使った音作り、さらにプラグアウトで別のシンセに変身できるのも使いこなしのポイント。それぞれ、メーカーの特徴を反映した個性的な機種なので、それを活かして使いたいですね。
SUGGESTION
ここ数年、いい機種が出てもすぐに廃番になってがっかりすることがあるのですが、いずれも、新たなビンテージになる可能性のある機種なので、ぜひ長く続けて欲しいですね。それと同時に、シリーズ展開なども考えていただければ嬉しいです。MONTAGEは巨大な可能性がありますが、そのFM音源部分だけを取り出すなどのスピンアウト機種、minilogueはやっぱり標準鍵盤が欲しかったり、そのまま二系統装備した上位機種、System-8はソフトウェアでアップデートできるのを活かしたさらなる進化や、フィルターだけJP-8が使えるなど、モジュール単位のプラグアウトができると楽しそうですね。
YAMAHA
MONTAGE 6
¥ 345,600 (本体価格:¥ 320,000)
音源システム「Motion Control Synthesis Engine」を搭載し、滑らかでダイナミックな演奏表現を実現した、新たなフラッグシップシンセサイザー。
KORG
minilogue
¥ 54,000 (本体価格:¥ 50,000)
最も素早くアクセスできる、本物のアナログ。 新世代ポリフォニック・アナログ・シンセサイザー。
ROLAND
SYSTEM-8
¥ 159,840 (本体価格:¥ 148,000)
歴代のヴィンテージ・シンセを最新技術で再現、人気モデルのサウンドを選んでカスタマイズできる Plug-Out シンセサイザー