NAB2017にて発表されたNUENDO 8が発売となりました。MA向けの機能が多く追加された今回のバージョン。今日、テレビやネットで流れる多くのCMがNUENDOで制作されており、業界標準とも言えるDAW。さらに、前バージョンであるNUENDO 7からWWISEに対応するなど、ゲーム業界への方向性へとシフトしていますが、今回のアップデートでももちろん機能が追加されました。
気になる新機能はこちら!
1. VIDEO Engineが一新
NuendoはWin/MacともにQuickTimeエンジンに基づいていました。しかし、2016年にAppleがWindows版QuickTimeのサポート終了を発表したため、今回Video Engineが一新されました。
気になる対応コーデックは、DV、DVCPro、MotionJPEG 、PhotoJPEG、H263、H264、Apple ProRes、Avid DNxHD・DNxHRと一気に幅広く対応いたしました。Avid DNxHD等に対応したということなので、Media Composerのコーデックも読み込み可能になります。(なお、DNxHD、HDxHRについては追加ライセンスが必要)
なお、プロジェクトの下位互換も保証されており、Nuendo 7以下のビデオファイルを含んだプロジェクトも問題なく再生できるとのこと。
2. ダイレクトオフラインプロセッシング
既存のオフラインプロセッシング機能が強化されました。ダイレクトオフラインプロセッシングは、既存機能のオフラインプロセッシングをさらにパワーアップさせた機能で、任意のクリップを選択してプラグイン処理などをバックグラウンドでプロセスして波形として書き出す機能です。再生中もパラメータの変更は可能で、変更した直後からコンピューターがプロセッシングを始めます。
※クリップを複数選択して同時に編集することも可能です。
この機能の注目すべきポイントは二つ!先ずは対応しているプラグインは、純正だけでなくサードパーティー製も使用可能なこと。他のDAWでは、この機能はEQ・Dynamicsのみで、かつ使えるプラグインも固定ですが、Nuendoでは様々なプラグインや処理が、処理順を含めてカスタマイズできます。もちろん、複数かけたプラグインの一部をバイパスさせた状態も処理できます。
そして、もう一つのポイントは、バックグラウンドでディストラクティブに波形処理をしていること。パラメーターを変更するごとに、バックグラウンドで波形として書き出す作業をしていますので、コンピューターのスペックが非常に大事になってきますが、書き出してしまえば、プロジェクトにとっては波形を再生しているだけの負荷になりますので、コンピュータの負荷を気にすることはありません。
3. VST MultiPannerの強化
Nuendo 7.1では9.1Dolby Atmos対応が大変ニュースとなりましたが、今回のアップデートでは22.2 Multi Channelまで対応となりました。
表示方法はNuendo 7でのVST Multi Pannerと同様Top ViewとRear Viewの2種類の2画面表示となり、22.2 Multi Channelも同じウィンドウでコントロールが可能となります。専用パンナーが用意されると一番便利なのは、ステレオや5.1サラウンドなどの音源を3Dフィールド内で斜めに定位させることが可能になることではないでしょうか。
また、Dolby Atmos RMUのほか、Local Rendererに対応し、Bed/Objectそれぞれのソースタイプを設定することが可能となります。なお、Local RendererはNuendoと同期して同一PC内での処理が可能です。
13.1Auro 3DのバスにアサインしたステレオトラックのMulti Panner。サラウンドならではのX軸・Y軸方向へのTilt(傾き)が調整できます。
4. Game Audio Connect2
Nuendo 7より大きくGameユーザーへも重きを置いたSteinberg。今回のバージョンアップでは、複数クリップを一度にWWISEへ送ることが可能になりました。各クリップの時間情報もそのまま送られるので、Nuendoからは、送りたいファイルをすべて選択してGame Audio Connectウィンドウへドラッグアンドドロップするだけ。しかもMIDIデータ・マーカートラックのサイクルマーカーも対応とのことで、MIDIトリガーやテンポなどの情報やループポイント情報の読み込みにも対応しました。
また、WWISEからファイルを展開すると、Nueneoが起動して指定のクリップがズームして表示されるまでが、自動で行われます。使い慣れたNuendoで下準備をし、WWISEで微調整をする。といった、新しいワークフローができそうですね。
5. Randomizer(VST プラグイン)
任意のクリップをピッチ・インパクト・カラー・タイミングの各パラメーターをランダムに変化させるプラグインです。例えば、ゲームのキャラクターボイスで、このRandomizerをインプレスレンダリングでプロセスすると、プロセスするたびに違う音色に処理されるので、あっという間にキャラクターボイスのバリエーションが増えます。今まではEQやModulationなどを一回一回変化させてレンダリング処理をさせていた作業が、一瞬で終わる便利なプラグインです。
各パラメーターの数字は、変化の度合いを表します。
6. MIXER History機能追加
Mixerで操作した情報が辿れる、Mixer History機能が追加されました。今までのNuendoでは、プロジェクト全体の編集履歴のみが管理されており、その中にはMixerで操作した情報は含まれていませんでしたが、今回のMixer History機能では各パラメータの変更やルーティングの変更も履歴として残るようになりました。編集履歴とは別で管理されますので、謝ってFaderをクリックして値を変えてしまったなどのエラーにも簡単に対応できます。
7. Sampler Trackの追加
そして、NAB2017レポートでも事前に発表されていた、サンプラー コントロールウィンドウ。新しいトラックの種類としてSamper Trackが追加され、そのウィンドウがメイン画面に統合され、簡便な編集が可能になりました。使用方法も簡単で、クリップをサンプラー コントロール ウィンドウにドラッグ アンド ドロップするだけで、簡単にサンプラーへ。Audio Trackにすでに配置されているクリップもSamplerへ送ることで自動でSampler Trackも作成されます。音楽用途中心で使用されがちなSamperですが、MAでは効果音をサンプラーに読み込ませて、映像に合わせて音をリアルタイムであてていく、といった手法もあるので、非常に便利な機能が追加されました。
8. Renamer
複数のクリップを一括で名称変更ができるツール。連番管理が必要なファイルの一括管理に便利な機能です。このRenamerはテキストファイル、CSVファイルにも対応しており、CSVファイルでは行単位で読み込み可能です。
その他、CUBASE PRO 9 NEKの統合、Melodyne Single TrackやSibeliusの ReWire対応など、様々な魅力溢れるアップデートが加えられております。なお、YAMAHAでは7月11日にNuendo 8 製品発表会が行われます。詳細は会場にてご覧ください。
※会場は大使館となりますので、事前申し込みと当日身分証明書のご提示が必須となります。当日予約なしでの入場や、身分証明書不携帯は入場できませんので、ご注意ください。
非常に速い速度で進化を遂げるNuendo。その背景には同社からリリースされているCubaseの存在も大きいはずです。音楽系の機能はCubaseの開発で、その他MAやゲーム系の機能はNuendoで開発される。それは開発系統が2系統あり、倍の速度で進化していくことではないでしょうか。毎回、予想以上の機能を搭載してリリースされるSterinberg Nuendo。この進化を是非手にとってご覧ください!!
販売開始!