SSL(Solid State Logic)がデスクトップ型ミキサーSixを発表しました。これはSSLの何世代にも渡るアナログミキシングシステム技術が凝縮されたデスクトップミキサーで、20万を切る価格帯でありながらバスコンプサミング、CUEミックス、モニターコントロールといった画期的な機能が搭載されています。
まずはSSLのムービーをご覧ください。
SSL SiXの特徴
続いて製品の特徴を解説します。Rock oNスタッフ撮影による、製品の解説動画をご覧ください。
大きくセクションは、
1、2CH MIC+ステレオ2系統のインプットセクション
2、Gシリーズバスコンプ
3、フォールドバックセクション
4、モニターコントロール
5、エクスターナルインプット
6、トークバックマイク
に分けられます。
どのセクションを取ってもこれまでのSSLのヒストリーと技術を凝縮し、デスクトップ制作環境で必要とされている機能にうまくフォーカスした作りとなっています。
SSLの伝説とも言えるSuperAnalogue回路で設計されたマイクプリは通常2CHモデルを導入するだけで数十万円するほどの価格帯。未だにレコーディングスタジオで活躍するSSL 9000シリーズのサウンドが手にはいります。さらにStereo Bus Compressorは、SSL 4000シリーズのマスターセクションに採用され、SSLサウンドの代名詞とも言えるコンプレッサー。コントロールできるパラメーターが減らされた簡易版とはいえ、500シリーズのモジュール版では約36万円する回路がそのままが搭載されているとすると非常にコストパフォーマンス的にも魅力的。
実際に使用するシーンとしては、パーソナルスタジオでの用途において下記のメリットがあります。
高品質なマイクプリの使用
まず挙げられるのはシンプルにアウトボードで準備をしていたマイクプリアンプの代用として導入することです。
伝説的なSSL 9000シリーズと同等のSuperAnalogue回路の持つクリアで低歪なサウンドはSSLならでは。マイク収録自体の音質に十分なクオリティーを持つサウンドキャラクターを追加することが可能となります。更に味付けを極限まで減らしたSuperAnalogue回路を持つLINE Inputへお気に入りのアウトボードを接続することで、接続した機器の持ち味をいかしたサウンドメイクも実現します。
さらに2バンドのSSLアナログコンソール譲りのEQも見逃せません。1.5kHzと260Hzという「判っている」プリセットポイントは、まさにアナログコンソールを作り続けるSSLならでは。中域の細かいEQポイントはDAW内のプラグインに任せ、サウンドキャラクターを決定づけるLF,HFに絞るという選択肢は、この製品のターゲットを考えると非常に納得できるものですね。
サミングで2MIXの一体感をアップ
今回の目玉の一つと言えるGシリーズMaster Bus Compの搭載ですが、機能性を重視していることもあり、アタック/リリースのつまみは用意されていませんが、SSLサウンドを得るための手段として非常に明確な目的を持って割り切られた仕様です。これによりSSLコンソールでミックスをした際に得られる独特なソリッドで透明感のあるサウンドが手に入るということになります。
EXT INも含め最大10chのSuperAnalogue Summing Mixerとしても活用可能なSSL SiX。そのFinalにMaster Bus Compが鎮座するという仕様は、これまでのX-Desk + G-Compの組み合わせの半分以下のコストで同等のサウンドが手に入るというまさに夢のような仕様だと思いませんか?
使い勝手の良いフォールドバックセクション
フォールドバックセクションは、入力部のST CUEとEXT INPUTによる外部入力のソースを混ぜて出力できます。Cue Sendとしての活用も外部エフェクト機器へのセンドに使ったりと、かなり柔軟な活用が可能となっています。この部分は一番自由度が高いため、使用する機材構成に合わせて柔軟な選択ができますね。
モニターコントローラーの置き換えとして
ミキサー本体右下部に擁されたモニターコントローラーは、2系統の出力切り替えとDIM、CUT、そしてMONOが可能。これまで別にモニターコントローラーを用意されていた方も、本製品なら集約されているので一台でまとめられます。このサイズのmixerでMain/Alt Speakerの切り替えができるというだけでも注目していいと思います。
トークバックマイクにはなんとLMCの機能が搭載!
※LMCとはリッスンマイクコンプレッサーの略です。
本来は、コミュニケーション時にTalkback Micの音声を聞き取りやすくするためのオリジナルのコンプレッサーでしたが、このコンプの独特の質感が広く受け入れられ、DrumのOverhead Micのコンプレッサーなどアンビエントマイク用のコンプとして重宝されています。SSL 4000/9000シリーズでしか手に入らなかったこのサウンドは、500シリーズで奇跡的にリリースされていましたが、なんとSSL SiXにも搭載されています。SSLがこの製品にかける情熱を強く感じる機能の一つ。この回路を活用してもらいたいがため、Talkback Micの入力に+48Vと+45dBというGainを持つMic Preが組み合わせられています。
フェーダーは100mm!
ただの100mmフェーダーではありません。SSL伝統の+10db~-10dbまでの間隔が広く取られた100mmのAnalogueフェーダーが搭載されています。微調整の行いやすいこのフェーダーは、これまでの「髪の毛一本の変化を得ることのできる」アナログコンソールのミキシングをプライベートな環境に提供するものとなるでしょう。
SiXのセッティング例
SiXのレコーディングとライブ、それぞれのセッティング例を解説した動画です。
このSixはSSLサウンドのコンプとEQが各チャンネルに装備され、プリアンプ、マスターバスコンプ、100mmフェーダーと全て1台のミキサーで導入できることはかなり魅力的です!
ST CUE Inを使っての疑似Inline Consoleとしての使い勝手など、ユーザーの環境に合わせて柔軟に変化する製品。そのサウンドクオリティーなどを考えると、これ一台あれば個人ユーザーでもかなり充実した制作環境が構築できるSSLの自信作。
4月上旬発売予定で、価格は¥198,720になります。現在予約受付中です。