伝統あるFocusriteから驚きの新製品が登場。その名もRED 4Pre。これまでのAudio Interfaceで培った技術、REDNETシリーズの先進性、そして伝統の高音質なアナログサーキットをすべて盛り込んだ集大成的な一台となっている。ISAシリーズ譲りのMicPre、業界最高クラスの超低レイテンシー、Dante搭載、AVID Pro Tools HDX/HD nativeと直接の接続可能なmini-DigiLink Port搭載と全部入りの製品だ。
先ずは、Focusriteについておさらいをしておこう。もはや伝説の人物とも言えるRupert Neve氏がAMS NEVEを離れた後に参加したのがこのFocusrite社。そこでNeve氏が残したのはForte シリーズのラージコンソール。この設計を受け継ぐのが、現在でもISAシリーズとして同社のスラッグシップに君臨するラインナップ。そしてISAシリーズの次に手がけたのがREDシリーズと呼ばれるアウトボード。トランスを使いながらもディスクリート回路によるトランジェントと、特性を両立したそのサウンドは、定番サウンドとして今でも現役。現在のラインナップではRedシリーズはそのフロントパネルのデザインが受け継がれたREDNET、そして今回登場したRED 4Preとなっている。
しかし、RED 4Preは同社のフラッグシップにふさわしく、ISAシリーズをシュミレートする”Air”機能が搭載されている。元々の素性の良さはFocusriteならでは、スペックシート上の電気的投句性も非の付け所のない物。それにトランスキャラクターを付加し、こだわりの2.1kΩインビーダンスへと入力を変化させる回路を搭載している。これにより、ハイ上がりな特性となり、失われがちな高域を保証する事となる。
レイテンシーに関しては、その実測値がweb上に掲載されている。Host DAWごとに数値が並んで掲載されているところからも同社の自信が大いに伺えるところだ。Pro Tools HDXカードと直接接続できることに注目が集まりがちだが、Native DAWでも非常に低いレイテンシーを実現しているのがわかる。特に96kHzでBufferを32に設定した際の値はLogic,Cubaseで1.67msと驚きの数字となっている。Pro Tools HDXシステムが0.7ms、旧HD Accel systemが0.96msということを考えると非常に優秀な値であるということがわかる。
更に、Danteも搭載されている。RED 4Preに取ってのDanteはPro Tools – Danteブリッジとしての機能の他、IOの拡張用という意味合いも強い。同社のREDNET A16R(16ch ADDA Dante対応機)などと組み合わせて使うことを念頭としているようだ。Pro Tools互換のmini-Digilink portと合わせて非常に多くの入出力を持っているので内部での自由なルーティングを実現してくれることに期待をしたい。現時点ではDanteの入出力はIN32ch/out32chに限定されThunderboltもしくはmini-Digilinkへとアサインされている。これを自由に変更できるようになれば、スタジオのデジタルハブとしてこの一台がコアとなるシステムアップが可能となるだろう。
Red 4Preのシグナルルーティングはこちらの図のようになっている。Thunderboltとmini Digilinkは排他、Danteも自由にRoutingは現時点では出来ない。是非ファームアップなどでその機能を十分に使いこなせるようにしてもらいたいと思う。といってもそれだけではない多彩な入出力、高品位なマイクプリ、レイテンシーの低さなど、多くの魅力を持った一台。今のままでも十分な拡張性を確保しているのは間違いない。しかし、折角実現したThunderbolt,Dante,mini Digilinkの共存。今後のバージョンアップ、そしてその実際の音質評価、じっくりと試してみたい製品である。渋谷の店頭ではすでに実機が動態展示されているRock oN Umedaでは来月のAudio Interface試聴セミナーに登場する予定だ。是非とも実際のその音質を確認し、検討してもらいたい製品となっている。
Writer. ROCK ON PRO 洋介
関連記事